スティーブン・キング自身がライフワークと呼ぶ大長編「ダーク・タワー」がついに映画化されました。
英国幻想文学大賞を受賞した独特の世界観を漂わせるダーク・ファンタジーとでも言うべき内容です。
日本での公開は2018年だそうですが、気になるのはあの原作の内容をどこまで、いや、あの原作のどこの部分を映画に仕上げたのかという点です。
あの壮大な原作を読んだ人なら疑問に思うはずだし、スティーブン・キングの一ファンの私としてもちょっと心配なんですが・・・。
スティーブン・キング原作の「ダーク・タワー」とは?
スティーブン・キングという名前は誰もが耳にしたことがあると思います。
特異な世界観を描く作風は、たんにホラー小説とばかり呼べるものじゃなく、読む者に不思議な感動すら与えます。
映像化のネタとしても重宝され、ハリウッドでも「いらっしゃいませ」状態・・・。
これまでにも数々の原作が映画化され、それら作品のどれもが印象的です。
個人的には、
・1976年「キャリー」ブライアン・デ・パルマ監督
・1983年「クリスティーン」ジョン・カーペンター監督
・1986年「スタンド・バイ・ミー」ロブ・ライナー監督
・1994年「ショーシャンクの空に」フランク・ダラボン監督
・1999年「グリーンマイル」フランク・ダラボン監督
・2001年「アトランティスのこころ」スコット・ヒックス監督
・2007年「ミスト」フランク・ダラボン監督
なんかがとくに記憶に残っています。
スタンリー・キューブリックが映像化した「シャイニング」という作品も有名ですが、こちらは原作ファンにとっては1997年のテレビドラマ版の方が、より“らしく”観ることができました。
最近では、これまた大作の「IT」が映画化され、間もなく日本公開ということで話題になっていますよね。
2017年秋に公開予定のワーナー ・ブラザース映画配給『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の情報をお届けします…
さて、そんなハリウッド御用達の小説家スティーブン・キングですが、「ダーク・タワー」はちょっと特別な作品なんです。
1982年に「ダーク・タワーⅠ ガンスリンガー」が刊行され、その後、
1987年「ダーク・タワーII 運命の三人」
1991年「ダーク・タワーIII 荒地」
1997年「ダーク・タワーIV 魔道師と水晶球」
2003年「ダーク・タワーV カーラの狼」
2004年「ダーク・タワーVI スザンナの歌」
2004年「ダーク・タワーVII 暗黒の塔」
という具合に出版された、全7作からなる壮大な物語であります。
実はこの作品、これまでの多くの作品と関連づけられているんです。
スティーブン・キングはこれまでに数々の怪奇な出来事をストーリーとして残しています。
その裏には多次元世界という独特の思想があって、これら多くの不可解な現象は、本作に登場する「ダーク・タワー」の異変によるものだとしているようなんです。
つまり、これまでのスティーブン・キングの世界の根源をつかさどる存在という位置づけで、それを物語として書き上げたのが「ダーク・タワー」シリーズなんですってよ。
これまで表現してきた突飛な世界観の理由付けなのか、帳尻合わせなのか、そもそもそんなことを説明する必要があったのか、その発想については判然としないです。
でも、この作品がスティーブン・キングにとっての集大成であることは間違いないようです。
映画「ダーク・タワー」のキャスティングは?
さて、「ダーク・タワー」がスティーブン・キングにとって特別な作品であることが分かったところで、今回の映画について見ていきたいと思います。
こちらが公開されている日本版トレーラー♪
映画「ダーク・タワー」日本版予告
で、こちらがオリジナル版オフィシャルトレーラー♪
THE DARK TOWER – Official Trailer (HD)
なかなかワクワクさせてくれる映像ですな♪
それでは、映画版で主要な役どころを演じるキャストをご紹介しましょう。
●イドリス・エルバ
ローランド・デスチェイン(ガンスリンガー)を演じます。
1972年9月6日、イギリス生まれの45歳(2017年10月現在)。
イドリス・エルバが仲間になりたそうにこちらを見ている… pic.twitter.com/VXA0wFxdx5
— ナミセ (@mineralholic) 2017年8月8日
日本では意外に知られていないかもしれませんが、黒人として初めてジェームズ・ボンド役の候補にもなった俳優さんです。
遅咲きの感は否めませんが、2002年のテレビドラマ「THE WIRE/ザ・ワイヤー」で脚光を浴び、2007年に「28週後…」、「アメリカン・ギャングスター」と立て続けに話題作に出演。
その後はもう「プロメテウス」「パシフィック・リム」「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」と出まくってます。
今後の活躍次第では、オスカーに近い存在なんじゃないかなって勝手に想像しています。
●マシュー・マコノヒー
黒衣の男ウォルター・オディム、ガンスリンガーの仇役を演じます。
1969年11月4日、アメリカ合衆国テキサス州生まれの47歳(2017年10月現在)。
この俳優さんのターニングポイントになったのが1996年の「評決のとき」で主演に抜擢されたこと。
その後、2013年の映画「ダラス・バイヤーズクラブ」でHIVに感染した主人公を演じるために、なんと17キロ以上もの減量をして挑み、アカデミー主演男優賞に輝いています。
2016年の「追憶の森」では、渡辺謙さんとの共演で話題になりましたね。
●トム・テイラー
ガンスリンガーと道中を共にすることになる不思議な力を秘めた少年、ジェイク・チェンバーズを演じます。
素朴な容貌でどこにでもいそうな男の子ですが、これからの活躍に期待したいところであります。
映画「ダーク・タワー」のあらすじ&原作との関連性とは?
さて、いよいよネタバレにつながる映画「ダーク・タワー」の内容に迫ってまいります。
10年前からJ・J・エイブラムス、ロン・ハワードといった大御所によって映画化の話が浮上していたものの頓挫の連続・・・。
それもそのはず、これだけの大長編をどういった構成にするのかでモメちゃったみたい。
「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」みたいな連作にする案もあったようですが、商売としては収益率が悪いとかの理由で話が進まなかったようです。
それが今回、「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の脚本で知られるニコライ・アーセルによって実現したわけですが・・・!
ここからザックリですが、ストーリーのネタバレであります。
映画を観るまで知りたくない方はご注意くださいませ!
ニューヨークに住む少年ジェイクは、夜ごと奇妙な夢を見ます。
黒くて高い塔、黒衣の男、人間の容姿をした怪物、そして拳銃使い・・・。
それらを実在すると信じるジェイクは、見た夢の光景を絵に描いたりしています。
母親と義父は、実父の死がジェイクの精神状態に悪影響を及ぼしていると考え、施設に入れようと考えます。
そしてジェイクを迎えに来た人物は、なんと夢に現れた怪物!
逃げ出したジェイクは、これまた夢に見た異世界に通じる屋敷にたどり着き、そこから時空を越えて行くのでした。
そこは地球とは異なる、開拓時代の西部を思わせる荒涼とした世界・・・。
そこでジェイクは、夢で見た拳銃使い、ガンスリンガーのローランドに出会います。
ローランドは父親の仇である黒衣の男ウォルターを倒すという目的を持っています。
当初ジェイクのことを怪しんでいたローランドでしたが、自分の名前やウォルターの存在、さらにはダーク・タワーのことまでも知っている彼に驚き、奇妙に感じながらも行動を共にするようになります。
実は黒衣の男ウォルターは魔術師のようなヤツで、ダーク・タワーを破壊することをもくろんでいます。
そのために、地球から能力のある子どもを拐っては、妙なマシンを使って共鳴させ、発生したエネルギーを使ってダーク・タワーに打撃を与えているのでした。
このダーク・タワーは、世界の秩序を保つための存在。
ウォルターはこれを破壊して闇の世界を開放し、地球も破壊してしまおうと企んでいたのです。
ジェイクがこの異世界に侵入したことを知ったウォルターは調査を開始。
すると、ジェイクにはたった1人でダーク・タワーを破壊できるほどのエネルギーが秘められていることを突き止めます。
狙いを定められたジェイク・・・。
その間、女性占い師によって、地球のニューヨークにウォルターが潜む場所へ通じる光の扉があると聞かされるローランドとジェイク。
そこから光の扉によってニューヨークへ向かう2人。
それを追って来るウォルターの手下たち。
ニューヨークの実家では、ジェイクの母親がウォルターの手にかかって命を落としていました。
怒ったジェイクはローランドから銃の使い方を学びます。
ウォルターの居場所へ向かう2人。
ところがジェイクはウォルターに捕えられ、ダーク・タワーを破壊するためのマシンにかけられます。
ジェイクの凄まじいエネルギーでダーク・タワーは崩壊寸前・・・。
それでもジェイクは力を振り絞り、ローランドに自分の居場所を伝えます。
ローランドとウォルターの決死の戦い。
宿敵ウォルターを倒したローランドは、ダーク・タワーを破壊するためのマシンをぶち壊します。
地球のニューヨークへ戻ってきたローランドとジェイク。
これからも一緒に来て欲しいと頼むローランドにジェイクは、母親がいなくなった地球にもう用はないと了解するのでした。
だいたい以上なんですけど、原作者のスティーブン・キングは、ローランド役のイドリス・エルバに満足を示しつつ、この映画は小説の続編である・・・みたいなことを監督とともに明言しているそうです。
The Dark Tower is close, now. The Crimson King awaits. Soon Roland will raise the Horn of Eld. And blow. pic.twitter.com/rqGSKM3dWL
— Stephen King (@StephenKing) 2016年5月19日
原作のラストを読めば納得できる気もするんですけど、鑑賞後の感想は原作ファンにとってもそれぞれ・・・。
私個人としては、ローランドの拳銃が西部開拓時代の初期のシングルアクション・アーミーのようで、ウェスタンファンとしてちょっと食いついちゃいますね♪
ディテールにはこだわってくれているんだなって。
あとは来年2018年1月の日本公開を楽しみに待っていましょう♪