埼玉県朝霞市の女子中学生が2年ぶりに保護された事件の報道で、アニメと犯罪を結びつけるかのような記事にネット上から反発の声が相次いだ件・・・。
これらの現象について、アニメ評論家の藤津亮太さんが語っているんですが、これが実に的を射ているように思いました。
でも、この方について知らなかったもので、かえって気になって調べてみることにしました。
ことの経緯と藤津亮太氏の見解について
元々好きで映像関係の仕事に携わっていた私ですから、いわゆるオタクではないかもしれないけど、やっぱりアニメは大好きなんですよ♪
それだけに、今回のネット上の反感には同調したくなる気持ちがありましたよ。
とりあえず今回の経緯を振り返る
経緯を簡単に振り返ってみると、次のような感じです。
埼玉県朝霞市の女子中学生行方不明事件の犯人に関する報道で、一部スポーツ紙などの記事に、次のような見出しが踊っておりましたとさ。
「女子高生アニメに熱中…寺内容疑者の素顔同級生語る」
で、この「女子高生アニメ」と表現されているのが、どうやら人気学園アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のことみたいなんですね。
まず、ちょっと、いやかなり、ここで引っかかるわけですよ。
「女子高生アニメ」なんて表現をされると、多くの人がいかがわしい内容を想像しちゃうと思うんですよね・・・。
でも実際は「涼宮ハルヒの憂鬱」はそんな変なアニメ作品ではないわけです。
そして次に、「少女監禁男」=「アニメ好き」とでも言うような目の付け方に反感を覚えるわけですよね。
要するに、「アニメ好き」、「オタク」と呼ばれる人たちがあたかも犯罪者予備軍であるかのような、極端な認識を広めてしまうじゃないか!ってことです。
こういう短絡的で軽率な表現に対して、憤っているわけですよ。
この「ネット上からの猛反発」という現象に注目したのは東京スポーツで、次のような見解を掲載しています。
「近年でも犯人がアニメや漫画好きだった場合にはその点がクローズアップされ、あたかも異常犯罪の原因のように扱われるが、アニメと犯罪に明確な因果関係はいまだ提示されていない」
これが報道メディアの怖いところですよね・・・。読む人によっては真に受けちゃって、「アニメ、漫画好き、怖いぃ~」みたいな認識になるわけです。
万が一こういった報道や認識が原因で、この先映像作品のあり方に規制が入ったりしたら大問題ですよ。
すでに世論を見据えて自粛傾向になっているっていうのに、ますます表現手法が限定されて、陳腐な作品のオンパレードになっちゃいそうです。
藤津亮太氏の見解
昨今の「アニメ&ヤバい人」報道の傾向や、きっかけについて、藤津氏は1988年、1989年に連続して起こった幼女の痛ましい事件を挙げています。
当時の報道では意図的に、犯人が所有していたいかがわしい漫画や写真、そして数千本ものビデオの中のわずかなものにスポットを当てていたとして、次のように語っています。
「個人の犯罪とマンガ・アニメなどの趣味のことが結びつけられて報じられたんです。(今回の反発も)このことが根っこにあると思います」
確かにあの当時、私も含めて、一部の漫画やアニメが犯罪者に影響を与えていると考える人が増えたと思います。
いかがわしい漫画やアニメがあるのは事実です。
でも、漫画やアニメを愛する人が、それらを好むかと言えば「NO!」なんですよね。
藤津氏いわく、
「容疑者の人間性に迫る報道そのものが、紋切り型になりすぎている」
というわけです。一方的に決めつけ過ぎているんですよ。
私などは、アニメを純粋に映像作品、物語として楽しんでいるし、過剰な表現手法があったとしてもフィクションだと理解して観ています。
ただし、幼いうちから過激な映像表現を観せるのは悪影響があるかもしれませんよね。
でもそれは、映像作品に責任があるのではなくて、それを観せてしまう環境に問題があるんですよ。
藤津氏は、今回の一件についてネット上からの反感がクローズアップされたことについて、次のように語っています。
「メディアの報道に対して、それは間違っているのではないかと読者の立場から意見が出てくるのは、むしろ望ましい状況なのではないでしょうか。
報道内容について動的平衡状態を作ることが大事と考えます」
これらの藤津氏の見解に賛同する人も多いようです。
「報道そのものが紋切り型になりすぎている」。アニメ評論家の藤津亮太さんの話です。
>「容疑者、女子高生アニメに熱中」記事に批判多数 背景に何が – ウィズニュース https://t.co/qkf8LA5ZGC #withnews pic.twitter.com/2bynYWh2Vf
— withnews (@withnewsjp) 2016年4月4日
ネットが社会的な地位を確立した今日では、その発言力は大きいものですよね。
大多数の意見は、世間だって無視できないはずです。
間違った報道、かたよった意見に対しては、誰もが一石を投じることができる環境になったんです。
この事実を、世間も政府も、「匿名だからウンタラカンタラ」言わずに、庶民の声として真摯に受け止めてほしいものですね。
藤津亮太とは何者なの?
さてさて、藤津亮太氏という方が何者なのかって話なんですが、詳しい情報がないですねぇ~・・・!
私と同じ静岡県の出身だということは判明したんですが、御存知のとおり静岡県って横に広いんですよ。
どうやら現在は東京にお住まいのようで、もともとは新聞記者や週刊誌の編集者をしていたようです。
道理で、Twitterとか見ても文章の書き方が専門家っぽいわけです。
とにかく今は、アニメに関する文筆や公演活動を中心になさっているみたいですが、「好き」だけでは収まらない見識をお持ちの方みたいですね。
最近では、「アニメ・マンガの実写化なぜ難しいか?」なんていう、私がもっとも気になる最近の日本映画の傾向と問題点に関する公演なんかもしているようです。
ほんと、アニメがお好きなんですねぇ~・・・。
好きなことに打ち込めるって、打ち込める環境にあるって、羨ましいです。
でも、儲かってるのかな・・・ちょっと疑問・・・?