加計学園の獣医学部新設問題にからんで、衆議院で開かれた閉会中審査・・・。
加戸守行(かと もりゆき)前愛媛県知事の答弁に、ネット上からの注目が集まりました。
当初は主役と思われた文科省前事務次官の前川喜平(まえかわ きへい)氏は、青山繁晴(あおやま しげはる)議員に論破されたような印象で後退・・・。
そこで新たに脚光を浴びたのが、紳士的な物言いで好印象を与えた加戸前愛媛県知事であります。
この方、愛媛県今治市に加計学園の獣医学部が新設されることが問題視されていること自体に疑問を呈しております。
その答弁によれば、自分の意向は、
「YouTube(の動画)が全てを語り尽くしてるんじゃないかと思います」
とのことで、どんな内容なのか気になってしまいました。
加戸前愛媛県知事が言うYouTube動画とは?
加戸前愛媛県知事が発言した、「全てを語り尽くしているYouTube」とはどの動画のことなのか・・・?
これ、『国家戦略特区諮問会議』の民間議員が、加計学園疑惑にからんで開いた会見の様子を収めた動画のことみたいです。
趣旨としては、
「愛媛県今治市に加計学園の獣医学部を新設すると判断したプロセスには、一点の曇りもない」
とした内容なんですが、メディアの多くが報じていない真相が伝わってくるようで、妙に納得させられる会見なんです。
トータルで1時間半くらいになる長い動画なんですけど、時間のある方はご覧になってみてください。
加戸前愛媛県知事は、
「この内容こそが国民に知ってもらうべき重要なこと」
だと言っています。
それと同時に、これまでの自分への取材の多くが都合良くカットされていて、本来言いたかったことがメディアでほとんど取り上げられなかったと残念がっています。
YouTube動画の内容を要約してみると・・・
加戸前愛媛県知事が獣医学部の新設の必要性を感じたのは、宮崎県の口蹄疫騒動が発端だったみたいです。
獣医師の割合を見ると、「東日本8:西日本2」ほどの差があり、西日本では深刻な獣医師不足が長年続いているそうです。
こと四国に関してはポッカリとした空白地帯・・・。
危機感を抱いて獣医学部の新設を申請すること15たび・・・。
いずれも獣医師会を中心とした既得権益による政治的圧力がブレーキをかけてきたみたいです。
ここに加計学園のような存在が浮上すれば、後押しするのが当然でしょ?ってなニュアンスに聞こえましたけどね(苦笑)。
でもでも、どうやら獣医学部の新設は深刻なくらい必要に迫られている感じですよ・・・。
YouTube動画で見られる会見には、4人の有識者が臨んでいます。
みなさんおっしゃりたいことは共通なんですが、内閣府国家戦略特別区域諮問会議(有識者)議員の1人である竹中平蔵氏の発言からまとめてみようと思います。
いろいろ言われている人だけど、わりと分かりやすかったもんで・・・。
今問題視されている「国家戦略特区での獣医学部新設」という政策の判断と決定については、3つのポイントから評価されるべきだとしています。
① 獣医学部を52年ぶりに作るという政策判断は正しかったのか間違いだったのか?
これについては、以下の状況を説明しつつ、
「どう考えても正しい」
との考えでした。
・52年間も作られていなかった状況は異常。
(欧米の人に話すと信じがたい状況だと驚かれる。)
・欧米では、獣医学部の卒業生が製薬会社や医療機器メーカーに就職するケースは珍しいことではない。
でも、日本ではなぜか稀なケースとされている。
・今や、口蹄疫やBSE、鳥インフルエンザ等の動物の病気から引き起こされる問題は、医師だけではなく、創薬や医療機器を含めた研究との連携が不可欠。
すなわち、ライフサイエンスの新しい展開が必要だ。
・これまでは、動物の治療にばかり主眼を置いた議論がなされたが、文科省に対してそれは違うと指摘してきた。
ライフサイエンスといった新しい需給見通しをふまえた議論が必要だろうと・・・。
ところが、ワーキンググループ等で何度も指摘してきたのに、回答が示されることはなかった。
・日本は欧米と比べて完全に遅れをとっているのが現状だ。
② では52年ぶりに新設する獣医学部は何校作るべきなのかという判断は?
会見を開いた有識者、民間議員らは、多く獣医学部の新設が必要だと考えていたと言います。
しかし、このような規制改革の際には、必ず反対勢力、抵抗勢力が現れると・・・。
とくに、獣医師会が非常に強く政治的な圧力で迫ってきたそうです。
その影響によって、新設する獣医学部は、たった1校にせざるを得なくなったそうな・・・。
不本意ではあったが、規制改革の一環として「蟻の一穴を開けたい」との思いから、1校だけの新設に踏み切る判断をしたと言います。
1校に絞ったという判断が間違っていると言うのなら、
「本来は自分たち政府の側もたくさん作りたかったのだ」
ということを知っておいてほしいと・・・。
つまり、1校だけと決めたのは政府の側ではなく、獣医師会による強い反発があったことに原因があるって言うんですね。
③ 1校にするならばどこなのか、その決定のプロセスは正しかったのか?
四条件に照らして、四国には獣医学部がないことと、これまで準備をしてきた経緯をふまえ、今治市が適切だと全員一致で判断したそうです。
また、新設する獣医学部は従来のような古いタイプではダメで、欧米のような多方面に対応できる教育が施されなければならないと・・・。
その条件に応えられるのが加計学園だったってことかな・・・?
この判断の裏に安倍総理大臣からの特別な要請などは存在しなかった、いや、むしろ、政策に携わってきた者から考えると、そんなことはあり得ない、と強調しています。
しかし残念ながら、国会の一部や、メディアの一部において、歪められて議論されているのが現状だと・・・。
このような状況が続けば、抵抗勢力に負けずに規制改革を進めようとする人たちのインセンティブが失われていくと危惧しているとも・・・。
さらに、こうしたことによって獣医学部のような必要なものが新設されないなどは、最悪の事態であるとまで言います。
以上のことから、
「これまでのプロセスには一点の曇りもないのだ」
と理解してほしいとのコメントでした。
私はけっこう納得しちゃいましたよ。
獣医学部の必要性も伝わってきたし、獣医師会ら既得権益を守りたい輩の存在も・・・。
じゃ、どうしてこんなにこじれちゃったのか?
野党のツッコミ?
メディアの偏った報道?
政府の説明不足が隠しているような印象を与えた?
どれが原因かなんて、もはや特定はできないですわ・・・。
やっぱり政府自民党の驕り体質なのかなぁ・・・?
安倍首相って、よく「きちんと説明していく」って言うけど、説明してもらった記憶がないし・・・。
やっぱりちょっと国民をナメちゃってたのかな?
最初からちゃ~んと積極的に説明してりゃ済む話だと思うんだけど、できない理由があったのでしょうか?
あ、したけど見てないだけじゃん!ってな言い訳はイヤよ。