議論も中途半端で中身もあやふやなまま、政府与党が強引に押し通そうとしている感の強い「テロ等準備罪」の新設を目論む「組織犯罪処罰法改正案」・・・。
国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏からの懸念表明を受けて、日本政府や菅官房長官らのバトル(?)が話題になっております。
想定外の展開に混乱中でありますが、初耳のワード、
・国連特別報告者
・ジョセフ・ケナタッチ氏
という2点について調べてみましたよ♪
国連特別報告者とは?ジョセフ・ケナタッチ氏の経歴は?
まずは聞きなれないワード、「国連特別報告者」って何?ってことから・・・。
ウィキペディア大先生によりますと、次のように説明されております。
国際連合(国連)の特別報告者(英語: special rapporteur)は、国際連合人権理事会から任命され、特定の国における人権状況や主題別の人権状況について調査・監視・報告・勧告を行う専門家である。
政府や組織から独立して個人の資格で任務に就くものであり、中立的に職務を遂行できるよう給与その他の金銭的報酬を受けない。
任期は3年。
独立専門家(英語: independent expert)とよばれることもある。引用元:Wikipedia
ん~・・・ちょっとよく分かりませんが、個人的な意思にもとづいて活動しているってことでイイんでしょうかね。
今回のジョセフ・ケナタッチ氏の勧告について、菅官房長官が、
「国連特別報告者は個人の資格であって、国連の立場を反映したものではない」
みたいな反論をしたのも、このあたりに理由がありそうです。
で、そのジョセフ・ケナタッチ氏とは何者なの?って話なんですが・・・。
どうやら大学教授だそうで、マルタ大学のホームページに掲載されたプロフィールを参考に、分かる範囲で経歴を書き出してみましたよ。
英語が苦手なので、ちょっと怪しいんですけど・・・^^;
お名前は英語表記で「Joseph A. Cannataci」。
通称「ジョー・ケナタッチ」とされています。
マルタ共和国の出身です。
経歴をまとめると、おおよそ次のようになっております。
・マルタ大学とオスロ大学で法律を学び、後にイギリスで公認情報技術専門家の資格を取得し、英国コンピュータ協会のチャータード・フェローシップを務める。
・1986年 マルタ大学で法学博士号(LLD)を取得。
・1987年 Norwegian University Pressによって発行されたプライバシー保護およびデータ保護法に関する論文を発表。
・1988年 マルタ大学法学部公共法学科へ。
・1988年 同大学に法律とIT研究ユニット(LITRU)を設立。
・2006年 英国セントラルランカシャー大学(UCLAN)の法学教授に任命される。
・2006年~2007年 ランカシャー・ロースクールの責任者を務める。
・2007年~2011年 UCLANの法律、情報および収斂技術センターのディレクターを務める。
・2011年 マルタ大学メディア・ナレッジ・サイエンス学部の情報政策&ガバナンス学科の所長に就任。
生年月日は不明ですが、この経歴からすると、現在の年齢は50代半ば・・・くらいでしょうかね?
研究分野は以下のように紹介されております。
・技術法
・情報倫理への学際的アプローチ
・データ保護法、セキュリティと監視
・デジタルフォレンジック
・オンラインソーシャルネットワーキングにおける合意事項
・サイバー犯罪やサイバーテロなどのサイバーセキュリティ
・インターネットガバナンス
・デジタルディバイドの問題
・法律、経済、文化遺産、ITへのホリスティックなアプローチ
・人格法、特にプライバシーの異文化問題
人権やプライバシーなどのスペシャリストなんですね。
現在の日本政府のやり方や問題の法案の内容から、ある意味「危険な状態」であると察したのかもしれません・・・。
ジョセフ・ケナタッチ氏が指摘するテロ等準備罪法案の危険性とは?
ジョセフ・ケナタッチ氏は、日本政府が推し進めている「テロ等準備罪」の新設を含む「組織犯罪処罰法改正案」について、次のように指摘しています。
・(法案の言う)「計画」、「準備行為」の文言が抽象的で、恣意的に適用される恐れがある
・対象となる犯罪が幅広く、テロリズムや組織犯罪とは無関係のものを含んでいる
・令状主義の強化など、プライバシー保護の適切な仕組みが明記されていない
日本政府は、2020年の東京オリンピック開催のために「国際組織犯罪防止条約」の締結(加盟)が必要であり、そのためには今法案が必要だとしています。
ところが、今日の「ワイドスクランブル」の中でテレビ朝日の解説委員が、「いわゆる先進国の中で、共謀罪を定めている国はない」と言っていました。
要するに現行の法律で十分に取り締まることが可能だからであり、それでも不十分だと言うなら国連さん、ご指摘くださいな、というスタンスなんだとか・・・。
では、だとすればなぜに安倍政権は強引なまでに法案の可決を目指すのか・・・?
実に気味が悪いですね。
【追記】・・・2017/5/25
この記事をお読みくださった方から、とても重要なご指摘を頂戴いたしました。
なんと、テレビ朝日の解説委員が言ったのは大間違いみたいです!
「国際組織犯罪防止条約」を締結している国は、国連加盟国193ヶ国のうち182ヶ国。
これら締結しているすべての国が、共謀罪に絡む何らかの法律を定めているそうなのです!
なぜなら、この条約を締結するためには、
「締約国は、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、ほう助し、教唆し、若しくは援助し又はこれについて相談することを犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる」
ことが条件になっているから・・・。
つまり、政府はこの条件を満たすために「テロ等準備罪」法案を可決させたいわけですね。
確かに、そう考えるのが自然ですから、彼が言った話はたいへんな誤りであると思われます。
テレビ朝日の人、何だったんだろう・・・?
まさか、私(管理人)の聞き間違い!?
菅官房長官はケナタッチ氏の指摘に対して「国連の立場を反映するものではない」と一蹴しました。
ケナタッチ氏の立場は先に述べたとおりですが、とは言え、国連の中の委員会から任命された存在であることに変わりはないと思います。
日頃、何かといえば国連を傘に北朝鮮や中国などを非難しておきながら、今回はその関係者からの指摘に対して真っ向から噛み付いています。
よほど想定外でビックリしたのか、思わぬ横槍に腹を立てたのか知りませんが、かなり重大な問題だと思うんですけどね・・・。
国民の誰もが、議論が不十分だと考えているだろうし、法務大臣からして説明できないような曖昧な内容なんです。
そもそも、「テロ」という文言を謳っておきながら、何をもってテロと断定するのか、その定義すらまとめられていないんですよね。
そりゃ曖昧になって歪みが生じるのも当然です。
それなのに法案だけを通そうったって無理があるってもんですよね。
この法案の真の目的がどこにあるのか、どうしてこんなに急がにゃならんのか、ますます理解できなくなってくる今日このごろであります。