2019年9月23日、若干16歳のスウェーデン人活動家グレタ・トゥーンベリさんが厳しい口調で語った「国連気候行動サミット」の壇上でのスピーチ。
気候変動に警鐘を鳴らす彼女の存在は、今や世界各地で「グレタに続け!」とばかりに賛同者を増やし、現代のジャンヌ・ダルクにでもなりそうな勢いです。
その演説内容については各紙が直訳で報じているものの、ところどころ表現が意味不明で分かりづらいですよね。
その原因が、グレタさんの語彙にあるのか、他言語の直訳という限界にあるのか・・・?
なので、私なりに“意訳”を施して、グレタさんの言わんとしていることを表現してみることにしました。
グレタ・トゥーンベリの気候行動サミット演説を意訳!
私から皆さんへ向けたメッセージとは「私たちは、あんたらを見ている」ということ。
だって、全てが間違っているから。
本当なら海の向こうで学校に通っているはずの私の元に、あんたらは集まっている。
若者の言うことに希望を見出そうとでも言うの?
よくもそんな・・・あんたらは空っぽの言葉で私の夢や子供時代を奪ったというのに。
でもまだ私は良い方。多くの人が苦しんで死んでいる。生態系が破壊されている。
私たちは大量絶滅の始まりの最中に立たされているんだよ。
それなのに、あんたらが話すことといったら、お金のことや経済成長をずっと続けようというおとぎ話ばかりじゃない。恥ずかしくないの?
30年以上も前から、科学は今の状況に陥ることを指摘していた。それを見ないふりしておきながら「やるべきことを十分にやっている」などと、今更よく言えるよね。
必要な政策も解決策も、何一つ目処すら立っていないってのに。
あんたらは私たちの言うことに「耳を傾けている」「緊急性を理解している」なんて言うよね。
でも、私がどんなに怒っていようと悲しんでいようと、結局は現状を信じたくないんでしょ?
だって、事態を把握していながら行動に移していないんだから、それって邪悪としか言えないし、こっちだってそんな言葉は信じられないよ。
今後10年で温室ガスの放出を半減する提案があるけど、それでも気温が1.5度下がる可能性は50%しかないそうだよ。人間ごときには埋め合わせができないくらいの連鎖が起きるリスクがあるんだよ。
あんたらは50%減らせるなら良いって思ってるのかも知れない。でもこの数字には考慮されていない様々な問題(空気汚染に隠された更なる温暖化の脅威や環境正義や平等性などの要素)があるんだ。
しかもこの数字は、何千億トンもの二酸化炭素を私たちやその子供たちが空気中から除去してくれるという予測に頼っているけど、そんな技術は存在すらしていない。
それなのに、こんな根拠のない数字と向き合って生きて行くのは私たちなんだよ。
「気候変動に関する政府間パネル」が発表したところによれば、地球全体の気温上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は67%だってさ。世界が放出できる二酸化炭素量はあと420ギガトンってこと。
それが今では、あと350ギガトンにまで減ってるんだよ。
こんな状況にもかかわらず、これまでと同じ取り組みや代わり映えしないやり方で、よくも問題が解決できるかのようなフリができるね。
今のままの二酸化炭素排出量が続けば、8年半以内に許容量を超えちゃうってのにさ。
でも、どうせ現状に見合った解決策や計画なんて、練られることはないんでしょ? だってこの数字はあんたらにとって都合が悪いもんね。
そんな現状を私たちに明かせるほど、あんたらは大人じゃないってこと。
あんたらは私たちを失望させているんだよ。でも若い世代は、あんたらの裏切りに気づき始めてる。未来の世代の目は、あんたらに向けられているんだよ。
もし、あんたらがこのまま私たちを裏切り続けることを選ぶってんなら、言わせてもらうよ。
「私たちは、あんたらを絶対に許さない」
これが言いたいことの全て。このままあんたらを見逃すわけには行かない。
今、世界は目を覚まそうとしている。変化が訪れようとしている。あんたらが望もうと望むまいとね。
グレタ・トゥーンベリの訴えに世界の反応は?
グレタ・トゥーンベリさんの熱いメッセージでしたが、各国の動きはどのようになっているのでしょうか。
12月に温暖化対策の国際会合が開催される南米のチリは、「2050年までに排出ゼロ」を目標に掲げると表明しました。
フィンランドは、2033年には自国で達成できるとしました。
小島諸国のグループは2030年までに「100%再生可能エネルギー」を目指すとしました。
更に、当面の目標を2020年までに引き上げると表明した国は70カ国に及びます。
もちろん、グレタさんのこれまでの活動や今回のスピーチに影響を受けたから、ということではないでしょうけれど・・・。
ちなみに、アメリカのトランプ大統領は出席予定ではなかったものの、開幕後に姿を見せて着席しました。でも途中で退席・・・。
地球温暖化に否定的とされるトランプ氏ですが、グレタさんのスピーチの前の退席なのか、後の退席なのかは明らかではありません。
そして、温暖化問題、地球環境問題について遅れていると指摘されている日本は、今後どのような動きを見せるのでしょうか・・・。
科学や経済の発展とともに現在レベルの生活が実現し、その中で安穏と生きている私たち・・・。
正直言って、この生活水準を下げてまで地球環境の改善に寄与したいかって言われると、けっこうな葛藤を感じます。
でも、将来を生きて行く若者の立場になって考えると、これは現状に甘えてばかりはいられないと、焦りにも似た感情が込み上げて来ます。
世界中が地球人レベルとしての価値観を共有して平和的な共存を実現できなければ、地球はダメな方向にまっしぐら・・・なのかも知れませんね。