ハンコを消す方法は?紙や衣服についた朱肉をキレイに落とすには?

 

書類に押印する際に、

 

間違った場所にハンコを押してしまった、

印鑑を逆さまに押してしまった、

別のハンコを使いたい、

 

といった経験はありませんか?

 

たとえばそれが、会社に提出する大切な書類だったりすると、押してしまったハンコをなんとか消す方法はないものか・・・?

 

なんて考えることもあろうかと思います。

 

こんな場合に何か解決策がないものかと、あれこれ調べてみました。

 

 

朱肉の成分や作り方

朱肉は次のようにして作られています。

 

① ヒマシ油、松脂(松ヤニ)、そして蝋を火にかけて油を作る

② 色素として顔料、さらに防腐剤や香料を混ぜて撹拌する

③ 和紙やヨモギの葉の裏毛といった繊維を加えて練り上げる

 

本来の朱肉には、「辰砂(しんしゃ)」という水銀の元になる鉱石を原料としていました。

 

 

これは、純度の高いものほど朱色、不純物が混ざると赤褐色をしたもので、古くから顔料などとして用いられてきました。

 

実は、『ハリー・ポッター』でも知られる「賢者の石」、これこそが辰砂であると言われているそうな・・・。

 

 

また、その発色の良さから、陶芸の釉薬(ゆうやく)としても利用されていて、名のある焼き物にも美しい朱色を全面に押し出した作品が見られます。

 

これなどは市販されている中でも、けっこうなお値段ですね。

 

 

その特徴は、退色といった経年劣化に強いということ。

神社の柱や鳥居の色を思い起こすと、その強さが想像できると思います。

 

そのことから、ハンコを押す際の印肉としても使われるようになりましたが、近年では環境等への配慮から水銀が使われることはなくなってきました。

 

今現在、主流となっている原料は、鉄、モリブデン、アンチモンといった化合物なんだそうですよ。

 

 

紙に付着した朱肉をキレイに落とす方法は?

いちど紙に付着した朱肉をキレイに消すことは、ほとんど不可能だと言われています。

 

重要な書類に押印する際に朱肉が用いられることからも、その性質は折り紙付きだと言って良いでしょう。

 

そもそも印鑑が簡単に消すことができるようでは、日本の捺印制度はとっくに廃止されていますよね。

 

ベンジンやエタノールのような溶解性のある液体や、アセトンのような揮発性の高い液体を使って、少しずつ少しずつ、溶かしては吸い取り、溶かしては吸い取りと、時間をかけて作業しても、せいぜい薄くなる程度ですし、紙自体を傷めることにもなります。

 

どうせ紙を傷めるならと、「砂消しゴム」を利用する手があると言えばあります。

 

でもこれは、消すと言うより“削り落とす”わけで、紙質によっては穴を開けてしまいかねません。

 

当然ながら、重要書類などには使えるわけもありません。

そのために、訂正印というものがあるんですよね。

 

 

また、本物の朱肉ではなく、スタンプ台のようなインクであれば、先ほどのベンジン、エタノール、アセトンといった液体を使ってある程度落とすことはできそうです。

 

ただ、完全に落とすことができるか・・・?

となると微妙ですね。

 

少なからず紙の繊維に染み込んでいるはずですから。

 

可能であれば、お詫びするなどして新しい用紙、書類を用意してもらい、あらためて慎重に押印するべきなのではないでしょうか。

 

 

衣類に付着した朱肉をキレイに落とす方法は?

 

では、衣類に付着した朱肉はどうでしょうか・・・?

 

押したばかりの生乾きの印に、シャツの袖口が触れてしまったりするケースはありがちですからね。

 

これには、先ほどもちょこっと登場としたアセトン(除光液の主成分)を少量コットンにつけ、付着した部分を叩くようにして朱を浮かせ、少しずつ移し取るという方法もあります。

 

しかし、しょせんは素人・・・。

完全に落とそうと思ったら途方もありません。

 

下手をしたら、かえって汚れが広がることにもなりかねません。

 

ここはやはり、シミ取りのプロ、クリーニング店に相談するのが最良の方法でしょう。

 

なんとか自分の力で! なんて無理をして取り返しのつかないことにならないよう、早々にクリーニング屋さんに持って行きましょう。

 

そのお店で叶わないまでも、もしかしたら解決のための良い情報を提供してくれるかも知れませんよ。