日本エンターテイナーライツ協会(ERA)とは?日米の芸能界の違いは?

  • 2017年9月9日
  • 2019年4月20日
  • 芸能

 

日本エンターテイナーライツ協会(ERA)という団体をご存知でしょうか?

 

田中聖さんに嫌疑がかけられた薬物事件をはじめ、最近では武井咲さんとTAKAHIROさんの結婚結婚に際し、

「CMの違約金が10億円単位ではないか」

といった憶測報道に対して苦言を呈する声明を出していました。

 

所属プロダクションともスポンサー企業とも異なるこの団体・・・。

 

にわかにその動きが活発化しているようなので、どういった団体なのか調べてみることにしました。

 

 

日本エンターテイナーライツ協会(ERA)とは?

日本エンターテイナーライツ協会(以下、ERA)が最初に注目されたのは、2017年5月26日に発表された【田中聖さんの逮捕に対するERA声明】ではないでしょうか・・・。

 

記憶に新しいことと思いますが、田中さんが所持してはいけない“葉っぱ”を持っていたとして、警察に身柄を拘束された一件です。

 

このときの一部の報道が、田中さんを犯人と決めつけるかのような伝え方をしていたことを指摘し、決めるのは裁判所であって、それまでは推定無罪であり、芸能人といえども一般国民と同等に扱われるべきだ・・・そんな内容だったと思います。

 

そして今回、私が目にしたのは、先にも触れた武井咲さんのCM違約金報道に対する声明、

『武井咲さんの10億円の違約金報道について』

であります。

 

タレントの「イメージ保持義務」があるとは言え、報道されているような、結婚&妊娠を原因とした10億円もの違約金などあり得ない、こうした憶測報道がタレントに対して不当な圧力を与え、人権や自由を制限する原因になり得る・・・といったことを訴えておりました。

 

なるほど、いずれのケースも、芸能人の権利を守ろうという意図が見受けられます。

 

芸能界にプロダクションの垣根を越えた組合でも発足されたのか・・・?

 

なんて思ったんですが、これ、法律のプロフェッショナル集団だったんですね。

 

発起人で広報窓口を担当する佐藤大和弁護士がツイートしていました。

 

 

 

 

ERAの組織概要は次のようになっています。

[table id=9 /] 「ERA」は、「イーラ」って呼ぶみたいです。

 

「パートナー」として記載されているのは、同協会のサポーターで運営にも協力する方々です。

 

しほりさんは、ももいろクローバーZや水樹奈々さんに楽曲提供している音楽家。

 

今野悠夫さんは俳優さんで、俳優の互助団体を運営。

 

桑原みずきさんは元SKE48のメンバーで、女優やダンサーとして活躍しています。

 

6月9日に開かれた発足会見について、しほりさんもツイートしています。

 

 

このお三方がサポートに就いた経緯については、あらためて調べてみたいと思います。

 

きっと、日頃から身をもって疑問に思っていたことがあるんでしょうね。

 

 

日本エンターテイナーライツ協会(ERA)の活動内容は?

ERAの活動方針は、おおよそ次のようなことみたいです。

 

① 芸能人の権利を守ること

② 芸能人のセカンドキャリアを支援すること

③ 芸能人の地位を向上させること

 

対象となるのは、俳優、歌手、アイドル、芸人といった芸能人だけでなく、スポーツ選手も含まれるみたい・・・。

 

不公平とか奴隷契約なんて言葉がちらほら聞かれるくらい、業界における芸能人の立場は弱くなりがちのようです。

 

そこで、事務所側と公平&対等な契約を結ぶことができ、その権利を守るために、

 

・新しい統一的な契約書づくり

・立法提案

 

といった、目指すべき具体的な目標を定めているそうです。

 

 

発起人の佐藤大和弁護士は、TBS「あさチャン!」のコメンテーターや、フジテレビ「リーガルハイ」、「リスクの神様」、テレビ朝日「緊急取調室」といったドラマやバラエティー番組の法律監修なども手がける存在です。

 

これらメディアへの露出がきっかけで、数年前から芸能関係の仕事が増えたんだそうです。

 

話しによれば、芸能プロダクション付きの弁護士は多けれど、芸能人側の弁護士は少ないんだとか・・・。

 

いざ扱ってみると、芸能事件にも様々な問題があり、1人ではまかないきれない状況になっていたみたいです。

 

そこで、上記に名を連ねる弁護士のお歴々に協力を仰ぎ、2017年5月12日に設立するに至ったというわけです。

 

 

昨今たびたび話題になる地下アイドルとかご当地アイドルの闇っぽい事件や問題・・・。

 

それよりもっと悪どいケースもあるそうで、なるほど捨て置ける状況ではないとの思いだったんでしょう。

 

ま、ビジネスチャンスでもありますしね♪

 

芸能人の“駆け込み寺”みたいな機能も作っていくというERAですが、佐藤弁護士によれば、

労働組合設立支援、

エージェント制度、

立法といった夢があるそうです。

 

 

そうそう、エージェント制度と言えばアメリカのハリウッド・・・。

 

日本の芸能界とはずいぶんと仕組みが異なるそうですが、どうなっているんでしょうね?

 

 

日本とアメリカの芸能界の違いとは?

日本の芸能界って言うと、“芸能界のドン”だとか、その系列の事務所だからどうだとか、先輩だの後輩だのと、何かと面倒でややこしいシガラミが話題になりますよね。

 

またそれに依存するテレビ局の体質やら、一過性にせよ同じ俳優が映画やドラマに出まくる状況とか、タレントと事務所側との確執とか・・・。

 

せまい日本にありながら、なんだか一般的な業界とはほど遠い異質な世界を感じさせます。

 

 

その点、ハリウッドをはじめとするアメリカの芸能界事情はどうなっているんでしょうか?

 

日本で言うところの「芸能プロダクション」は、アメリカでは「エージェント」と呼ばれます。

 

しかし、日本のように所属するわけじゃなく、俳優も監督も脚本家もあくまでも個人事業主として個別に契約を結んでいます。

 

なので、エージェントにとってタレントは、日本のような商品ではなく、いわばお客様(クライアント)なんですね。

 

エージェントの仕事は、出演交渉、ギャラ交渉、契約交渉くらいで、マネジメントは行いません。

 

マネジメントは専門の会社が存在し、タレントはそこと個別に契約することになります。

 

 

またたいていの場合、大御所のタレントになると自腹でマネジャー、弁護士、会計士、アシスタント等を雇っているみたいです。

 

つまり、アメリカで俳優やタレントとして活躍したければ、自腹でアクターズスクールに通い、オーディションを受け、運良く受かったらエージェントやマネジャーを探す・・・そんな順序になるんだそうな・・・。

 

エージェントと契約すれば、それを通じてオーディションの情報も得られるようになるそうです。

 

 

さらに、ハリウッドで俳優業をするには、「スクリーン・アクターズ・ギルド(SAG)」というユニオン、すなわち組合に入ることが条件となります。

 

1933年に創設され、10数万もの組合員が所属する組織です。

 

映画やドラマの仕事はここを通して受けることになり、加入していなければ話すら耳に入らないそうです。

 

加入するには細かい条件があり、入会費やら年会費がかかります。

 

でも、その恩恵は格別なものがあります。

 

それは待遇ばかりでなく、保険や法律に守られた労働環境、最低賃金の保障などなど・・・。

 

俳優を志してもここまで到達する人はほんのわずかです。

 

日本みたいに事務所のゴリ押しで・・・なんてことは皆無だし、本当に実力の世界なんですね。

 

俳優、タレント、監督、脚本家、マネージメント、エージェンシー、会計に弁護、それぞれの役割が細分化され、独立した仕事として確立している感じ・・・。

 

それだけ公平で公正なビジネスが成り立つんだろうけど、成功を手に入れるにはかなりの難関ってイメージです。

 

日本とアメリカ、どちらの状況が働きやすいのかは、当事者それぞれによって違うとは思うんですが、クリエーターや鑑賞する側からすると、そのクオリティーには断然アメリカの方が期待できそうです。

 

ERAが発足されたことが日本の芸能界をどれだけ変えられるのかは未知数ですが、タレントにとってもファンや観客にとっても、納得のいく環境に向かってくれるとイイですね。